addict
その瞳に。
その髪に。
その声に。
――お前のすべてに……
眠っているフェイトを眺めているだけで幸せと感じる自分がいる。
そんな自分を変だと思わないなんて、昔の自分では考えられないだろうな。
「…何…考えてる?」
「起きたのか」
「うん。…で、何考えてたの?」
俺をまっすぐに見つめてくる碧玉。
「別に。お前が気にすることじゃねえよ」
そう言いながらくしゃっと頭を撫でる。
「そう言われると逆に気になるなぁ。……って僕、子供じゃないんだけど」
頭を撫でたのが気に入らなかったのか、少し不機嫌になるフェイト。
――十分子供だろ。
なんて言ったらもっと機嫌を悪くするだろうから言わないが。
「いいんだよ、俺がこうしてたいんだから。お前の髪、触り心地いいし」
「そ…そうかな。なんか照れるな、急にそんなこと言われると」
頬を少し赤く染めながら言うフェイトを見て思った。
なんて愛しいんだろう、と。
「なぁに〜?アルベル、顔ニヤけてる〜」
楽しそうにクスクス笑うフェイト。
「…ちょっとこっち来い。もっと近くでお前を見たいんだ」
「え…今でも十分近いから、そんなに近寄らなくてもいいだろ?」
1つのベッドで寝転がっている為、すでにかなりの至近距離にいる2人。
「いいから来い。何もしねえから」
「…わかったよ」
何だかんだ言いつつ従うフェイト。
だったら最初から素直に従っておけばいいのに、といつも思う。
ま、そんなところも可愛いって気付いてないのはフェイト自信だけだろう。
「何でこんな近くで僕なんか見たいんだよ?」
「好きだから」
「……は!?」
「好きなんだよ。この瞳も……ここもな」
言うと同時にフェイトの口唇を自らのもので塞ぐ。
「……んっ…ぅん…」
呼吸のために一瞬開かれた唇に舌を滑り込ませる。
「んぅ…んんっ……やっ…」
唇を離してやると、予想していた通りの反応をする。
「ッ…もう!何もしないって言ったのは嘘か?」
「別にいいだろ。キスくらい」
「……はぁ。とにかく、朝からやめてくれよ」
そう言うと俺に背を向けてしまう。
すぐに体を反転させて、俺と向かい合う体勢に直す。
「こっち向いてろ。大体キスだけで終わらせてやったんだから感謝しろよ」
「な、何言ってるんだよ!……僕はキスだけでも恥ずかしいんだよ」
ブツブツ言っているフェイトの顔は真っ赤になっていた。
そんなフェイトを抱きしめる。
「うわっ…今度は何!?」
「俺は寝る。早く起きすぎたようだからな」
「はい?」
「俺が寝る、ということはお前も寝る。わかったか?」
「……もう…自分勝手なんだから」
文句を言いつつも俺の胸にすり寄ってくる。
「フェイト」
「なぁに?」
「愛してる」
「ッ……はいはい。僕も愛してますよ。…おやすみ、アルベル」
そんなやりとりでさえ幸せ。
俺が愛してるフェイト。
そんな俺を愛してくれるフェイト。
これからも変わらない、変わることの無い想い。
ずっといつまでも俺はフェイトだけを愛し続ける。
もう俺はフェイトがいなくては生きていけないんだろうな、きっと。
なんて思う自分はそれなりに好きだ。
-end.
後書き。
甘い感じなアルフェイ。
アルベルがフェイトにベタ惚れとのリクだったのですが、アルベルのキャラがなんとなく違う気がしますね…痛。
addictとは『中毒』的な意味です。…確か(汗)
アルベルはフェイト中毒です〜みたいな意味にしといてください。
2004/10/14