かくれんぼ




もし僕がいなくなったら…

キミは僕をみつけてくれるかな?




「ちょっと!フェイトがどこに行ったか知らない!?」

宿屋で休んでいたクリフのところに突然マリアが(少々キレ気味に)怒鳴り込んできた。
「い、いや知らねぇけど…どうかしたのか?」
あまりに突然だったからクリフは驚いていた。
「どこにもいないの!いつもふらっとどこかに行くから私はそんなに心配してないんだけど、殺気をふりまきまくってる人がいるのよ…」
「…アルベルか。」
「困っちゃうわよ。外に出すのすら危なっかしいから、ファクトリーに閉じこめておいたけど。いつまでもつか…」

そう。実は少し前にICをしていたマリアは外で殺気をふりまきまくってるアルベルをみつけてしまった。
あまりにも危ない雰囲気だったからファクトリーに閉じこめて来たのだった。
しかし、1人でICをしていたためファクトリーには今現在アルベルしかいない。
―ということは外に出てしまう可能性はかなり高い。
『無断で外に出て行ったらタダじゃすまない』
と言ってはいたが、黙っておとなしくしているようなアルベルではない。

すぐにマリアはクリフをつれてファクトリーに戻ったが、案の定、アルベルの姿は無さそうだった。

「…やっぱり」
「ま、アイツがおとなしくしてる方が怖いけどな」
2人は話しながらドアを開けて中に入ろうとした。
「こうなったら私た「あれー、何やってるんですか??」
マリアとクリフが話していたところにソフィアが急に入り込んできた。どうやらファクトリーの中で何か作っているらしい。おいしそうな匂いがしている。
「アルベルさんならちょっと前に出ていきましたよ。私がここに来た途端『ちょっと出てくる』って言って。あ、出て行く時に『これで無断じゃねぇな』とかなんとかブツブツ言ってましたけど…」

「…以外と考えてるじゃない。ところでソフィア、あなたフェイトがどこにいるか知らない??」
「フェイトですか?知ってますよ。ここに来るちょっと前まで一緒でしたから」
「「えぇ!?」」

思わぬところでフェイトの行方が判明した。
―どうやらここに初めて来たソフィアをいろいろなところへ連れていって案内していたらしい。
優しいフェイトのやりそうなことだ。
一通りまわり終わってから別れたらしい。
「それで、フェイトはどこへ行ったんだ?」
クリフが肝心なことを聞いた。
「えーと、フェイトなら確か…」



その頃、ファクトリーからソフィアのおかげで出ることが出来たアルベルは、やっとの思いでフェイトをみつけることが出来ていた。

「オイ、フェイト…」
即、声をかける。
「あ、みつかっちゃったか。結構時間かかったんじゃないか?何かあったの?」
何が起きていたか全く知らないフェイトは素直に聞いてみた。

ところが…

「何かあったの?じゃねぇ!!てめぇ今まで何してたんだ!?…お前のせいで何故か閉じこめられたんだからな!!」
アルベルは今までの怒りを一気に爆発させた。
さすがのフェイトもこれには少し驚いた。
これ以上機嫌を悪くされても困るので、聞かれたことに答えることにした。
「ごめんごめん。別に隠れたりしてたわけじゃないんだよ。…えーと、まずソフィアにいろいろ知って貰うためにここらへん案内して、一通り終わってソフィアと別れただろ。それからは別に何もせずにここでぼんやりしてたんだ。……閉じこめられたって大丈夫??」
「…あぁ、大丈夫だ。別に何もされてないし、してもいないからな」
「そう、良かった。」

何だかどうにも話を丸め込まれたような気がしなくもないアルベルだったが、とりあえずフェイトがみつかって、ほっと胸をなで下ろす。

「今度からオレに…誰かオレ以外でもいいが、行き先を告げてから出て行け。」
「うんうん、わかったよ。……かくれんぼはこれくらいにしとくよ
「あ?何か言ったか?」
「ううん、何でもないよ。さあ、宿屋に帰ろうか。そろそろソフィアのおいしい昼食も出来てるだろうし。」
と、満面の笑顔で言いつつアルベルの前に手を出す。

「…何だ?」
「手つなごうよvvいいだろ、手をつなぐくらい。」

イヤそうな顔をしつつも、フェイトの手をしっかりと握る。
それを見てフェイトも手を握り返して歩き出す。
「何かいいよね。こんな日ってさ」



――きっと大丈夫。
どこにいてもキミなら必ず僕をみつけてくれる。
僕もキミをみつけられる。

それだけ強い絆があるから…


-end.



後書き。
無駄に長っ。
ダラダラと延ばしちゃって申し訳ない…今回はソフィアも出たぞー。
みんなの話し方とかがまだよくわからなかったり…(汗)ぎゃぼー


2004/7