観察日和。
人を好きになる。
その人の全てを知りたくなる。
良いところも悪いところも、好きなものも嫌いなものも何でも知りたい。
…心の中も。
――そう思わない?
フェイトとアルベルは2人でのんびりと草原を歩いていた。別に何をするわけでもなく、ただ歩くだけ。
『…あ。ちょっとイライラしてる』
アルベルは何も言わず無言で歩いていた。
無言だけど歩き方はいつもとは少し違った。石を見つければ蹴る。うん、確実に蹴ってる。
『――アルベルってこういう静かで何もするようなことが無いほのぼのしてる時間って嫌いだよね。僕は結構好きなんだけどな。』
フェイトは歩きながらアルベルを観察していた。
「おい」
「ん。何?」
「…何か用事があって連れ出したんじゃないのか?」
「んー。あるような、無いような…」
「…」
『今のは良くなかったかな。怒り度アップしちゃったみたい』
さっきまでは軽く蹴っていた石が強く蹴られる。強く蹴りすぎて石は遠くまで飛んでいってしまった。
「あそこの大きな木下で昼寝でもしようか?」
言ったとたん返事も聞かずにアルベルの手を取り走り出す。
『こういうところ、自己中心的だよな』
だまって手を引かれつつアルベルは思った。フェイトは結構人の意見を聞かないで勝手に物事を進めてしまうところがある。
…とか考えてるうちに目当ての木の下にたどりつく。
「うーん、風が気持ちいいねーvv」
そう言いつつ、木を背にして座り込む。ちょうど木の影になっていて涼しい。
「お前は一体何がしたいんだ?」
宿屋を出てからずっと謎だったことを聞いてみる。
「別に無かったんだけど、今出来た。コレ!」
と言ってフェイトは座っているアルベルの膝に頭を置くようにして寝そべる。
「膝枕vv1回やってみたかったんだよねー」
などと言って嬉しそうに笑っている。
『――子供っぽい…』
「何考えてんのー?もう!!こんなぽかぽかして気持ちいい日は昼寝するしかないでしょ〜。今から昼寝の時間ー」
そう言ってフェイトは瞳を閉じる。
完全に寝る体制になってしまったフェイト。おとなしく膝を貸してやっていたら、しばらくすると寝息が聞こえてきた。
『こういうところも子供っぽいよな』
そんなことを考えていたらアルベルも眠くなってきた。フェイトの言った通り、こんな風にぽかぽかしてると昼寝をしたくもなる。
前はそんなこと思ったこと無かったけど、フェイトと出会って一緒に旅をしているうちにそう思えるようになった。
『ま。いいもの見せてもらったし、これはこれでいいか…』
と、アルベルも夢の世界に誘われていった。
いいもの。
フェイトがあまりにも幸せそうな微笑んでるような寝顔だったから。こんな顔はなかなか見れないから。
ルシファーとの戦いが終わってからも少しの間はずっと何かに悩んでいたようだったから、こんな顔を見れるのは正直嬉しい。
周りには迷惑をかけないように無理矢理元気な風に見せていることもあった。だから…
こんな無防備だけど、作り物じゃない笑顔を見れるなんて、まるで心の中を見れたかのような嬉しさだ。
こんなこと考えてる自分もどうかしてるかもしれない。でも、前よりはずっといい生き方だ。
そう心から思った。
-end.
後書き。
い、意味プー!!作ってる自分でもわけわからんデス…はぁ。
もっと頑張らなくては。感想とか下さい(切実)
2004/7