ちょっとしたことですぐ言い合いになる。
口喧嘩なんて日常茶飯事。
「………」
「おい、フェイト。何なんだよ?文句があるならはっきり言えよ」
さっきの戦闘からフェイトの機嫌は最悪だ。
「…文句?」
「そうだ。黙ってちゃ何もわかんねえだろ」
「じゃあ言わせてもらうけど、さっきのは何?僕をかばったとでも言うのか?」
……さっき、確かに俺はフェイトをかばった。それの何がいけねえんだよ。フラフラしてるように見えたから気になったんだよ。
「そうだ、と言ったら?」
「僕はアルベルにかばってもらわなければならないほど弱くないよ!」
「お前がフラフラしてたから、気になってしょうがなかったんだよ。かばうことの何が悪いんだよ?」
思っていたことを全部言ってみた。俺は何も文句言われるようなことはしてねえんだよ。
「かばった結果がそれだろ!?」
ビシッとアルベルの腕を指さしながら怒鳴るフェイト。
指さされたアルベルの腕からは少量ながらも血が流れていた。
「別にこのくらいどうってことねえよ」
「アルベルが平気でも、見てるこっちが痛いんだよ!しかもフラフラなんてしてないよ」
そう言ってどんどん前を歩いていってしまうフェイト。
どうやら相当怒っているらしい。
こうなってしまっては、フェイトの機嫌が良くなるまではどうすることも出来ない為、黙ってフェイトの後ろを歩く。
少しの間おとなしく歩いていたアルベル。
でも、フェイトの様子が少しおかしいことに気付き呼びかけてみる。
「…フェイト?」
「……ッ…見ないで。僕、今きっと変な顔してるから」
変な顔と言っていたフェイトの頬に流れるモノ。
それは止まる気配が無い。
「泣くなよ。お前が泣くことなんて何も無いはずだろ」
「泣いてなんてッ……ないよ。僕は泣いてない」
口ではそんなことを言いながらもフェイトの涙は止まらない。
「お前が危ない時に俺が助ける、それの何が悪いんだよ?」
「良いわけないだろっ!?アルベルが怪我するのなんて嫌なんだよ、僕は。…僕は自分よりアルベルの方が大切なんだ。大切な人に傷ついてほしくないのなんて当たり前だろ?」
――そんなことを言われたら、俺だって。
「俺だってお前が大切だ。お前が言ったように傷ついてほしくない。だからかばう、これの何がいけねえんだ?」
「え……ぅ、それは…」
「わかったか?だったらいい加減泣きやめよ」
いつまでも泣きやまないフェイトを抱きしめる。
「言っただろ、僕は泣いてなんかいな……んッ…」
突然触れるだけのキスをする。
「少し黙ってじっとしてろ。俺は俺以外のヤツにお前の泣き顔なんて見せるつもりはねえからな」
「……うん」
顔を真っ赤にしながら頷くフェイト。
そんなフェイトを見て満足そうなアルベルは抱きしめている腕に少しだけ力を入れる。
「俺はお前が傷つくのを防ぐ為だったらこの程度の傷、痛くもかゆくもねえよ。だから…安心しろ」
「うん。ありがと、アルベル。」
顔を上げたフェイトの顔にはもう涙の跡は無く、最高の笑顔だった。
君が泣いた日。
自分には何が出来るか考えた。
――きっと抱きしめて安心させることぐらいなら出来る。
そして、少し泣いたらきっと笑顔を見せてくれる。
――太陽のような眩しい笑顔を。
-end.
後書き。
なんとなく思いついたんです。
うちのフェイトはアルベルの前では泣くんです。…多分。
よくわかんないけど結局私はアルフェイ大好きってことです。(何)
意味不明後書きで申し訳ない…
2004/ 8/18