世界はみんな君のもの



きっと僕の世界はみんな君のもの。

僕の『好き』も君にだけ。
僕の『愛してる』も君にだけ。




朝起きると、まず目に入るものは君。
僕の一日は君から始まる。

「おはよーアルベル」
「……」
今日は僕の方が早起き。
でも今日は別にしなければならないことは特に無いから、僕もまだ寝てようかな、なんて考える。

…考えてたんだけど、どうやらそれは出来なそう。

緋色の瞳が見えたから。
「…今度こそおはようだね、アルベル」
「…ぁ?」
「お・は・よ・う」
「……あぁ、おはよう」
朝の挨拶は大事だよな。うん、絶対そうだよ。

あ、今日初めて会話したのもアルベルだ。

「今日は?」
「え、何?」
「今日は何かすることあるのか?」
「無いよ。だから僕寝直そうかと思ったんだけど、アルベル起きたから僕も起きようと思って」
こうなったら起きた方がいいから、とりあえず上体だけ起こして伸びをする。

「それなら…」
「ぅわっ!……何するんだよ、急に」
ベッドから出ようとした僕は、何故かまたベッドの上に戻されていた。
しかもアルベルに抱きしめられていた。
「今日は寝て過ごす。これで今日の予定は決まったな」
目の前でニヤッと口の端をつり上げているアルベル。



なんて自己中心的なんだろう。
僕は起きようとしていたのに。
わざわざ僕まで付き合わせなくてもいいのに。

――でも…
「…うん」
――でも僕はこんなアルベルが大好きなんだ。
結局はアルベルの言うことに従ってしまう。


いつも何だかんだ文句を言いつつも、僕には優しいアルベル。
今日休むのだって、最近忙しかったから、って考えてくれたのかもしれない。
…こんな風に考えてるのは僕だけかもしれないけど。

「おい、また何かぐるぐる考えてんだろ。今日は寝て過ごすって言っただろ。ちゃんと休め」
ちょっとした変化にも気付いてくれる。


あぁ、もう…なんだか嬉しくなっちゃうじゃないか。


「…何を考えてたと思う?」
聞いてみたくなった。
試す、とかじゃなくてただ単に聞いてみたかったから。
好奇心ってやつ?

でもやっぱり君は。

「そんなの俺のことに決まってんだろ」

あまりにも自信たっぷりに言うから。
まるで当たり前のように言ってくれるから。

「…秘密だよ」
本当のことは言わない。
言わなくても、どうせ君にはバレてるだろうし。

こんな些細な会話でも感じてしまう。
――僕は君のこと愛してるって。


僕の心も身体も君のもの。


ねぇ、知ってる?
僕の世界はみんな君のものなんだよ。


そして、きっと君の世界もみんな僕のもの。
……そう思っているのは僕だけ?


「フェイト、愛してる」
「……知ってるよ。僕もそうだから」

僕が瞳を閉じる前に見たのは君の優しい笑顔。
やっぱり信じてる。信じていいんだよね?
お互いの世界はお互いのもの。
二人の世界は二人のもの。


なんて幸せなんだろう。

――覚えてて。僕の世界はみんな君のものだよ。ずーっとね。


-end.



後書き
アルフェイ甘々とのリクでしたが、どうでしょう??
…うーん、微妙。




2004/10/ 6
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