「キラ」
僕を呼ぶ声。
名前を呼ばれることは嬉しいことだと思う。
彼には怒られる時もあるけれど、僕にはひどく優しい人だから本当に必要な時だけ怒る。
……自惚れかもしれないけど、そう思うんだ。
必要以上に甘やかされてるってわかってるけど、今だけは甘やかされてても許されるかな?


Sweet Sweet Love Magic


「キーラ?今日は随分と甘えっこだね」
「今すごく甘えたい気分なの」
「ふーん。ま、俺はキラが甘えてくれるの嬉しいからいいけどさ」
結構前からアスランにぎゅーっと抱きついたままの僕。
だからアスランは僕を抱きしめる以外何も出来ずにしている。
本当はいろいろやりたいことあるはずなのに、微笑みながら僕のわがままに付き合ってくれている。




いつもそうだ。僕のわがままになんて付き合わなくたっていいし、文句を言ってもいいのに。
こんな風に長い間甘やかされ続けると嬉しい反面、ひどく恐怖を感じる。
どんどんエスカレートしてしまいそうで怖い。
いつかそんな話をしたらアスランは困ったように微笑みながら言った。
「怖いことなんて何も無いよ」と。
「俺はどんなキラでも嫌いになったりしないよ」と。

「キラが間違えた道を選んでしまったら俺がなんとかして軌道修正してあげる」

だから安心して甘えていいんだよ、なんて言われた。
こうまで言われると、逆に簡単に彼に甘えてしまうのは悔しいと思うようになった。
どんなに甘えたくても我慢するようにした。本当は甘えたくて仕方ないのに。
それを彼は微笑んで見て見ぬ振り。どうせ僕のやってることなんてお見通しなのだろう。
悔しいけど、どうやら僕は彼より幼いらしいから。




「やっぱりこうやって素直にキラが甘えてくれないと俺は寂しいよ」
「ありがたみが無くなっちゃうから駄目」
「……キラらしいよな、本当に」
「アスランはこんな僕も好きでいてくれるんでしょ?」
「当たり前。……こんな俺もキラは好き?」
答えがわかってて聞くんだ。……僕も今同じことしたばかりだけど。
やっぱり彼は悔しいくらい大人で、でもこんな風に子供っぽい一面もある。
こんな姿を見せるのは僕の前だけだって知ってる。
すごくすごく嬉しい。そう思わずにはいられない。
だから今日は特別に言ってあげる。

「……悔しいけど、大好き」

そうすれば、本当に嬉しそうに微笑む貴方が見れるから。


-end.



後書き。
一応キラの誕生日記念のつもりです。
とりあえずまずはアスキラということで。
タイトルは音ゲーから。歌詞は英語だからよくわからないけど、可愛い感じの曲で大好きなのです。




2006/ 5/20
← back