「ねぇ、あすらん」
「んー?どうしたの、キラ」
「ぼくのところには『さんたさん』ってきてくれないの?」
ぼくのところ……ヴェサリウスにサンタ!?
「あのね、キラ。ここにはきっとサンタさんは来ないと思うよ」
「どうして?ねぇ、どうして?あすらん。ぼくちゃんといいこにしてるよ」
今にも泣きそうな顔で「どうして?」と聞いてくるキラ。
なんとかいい理由はないものかと考えてみるが、何も思いつかない。
「…えんとつがないから?」
「え?」
「そうだ!!きっとそうなんだ!どうしよう…えんとつがないとさんたさんきてくれない」
子供の考えることというのは予想もつかないようなことが多い。
…さすがにヴェサリウスに煙突は無理だろう。
「キラ、どうしてそんなにサンタさんに来て欲しいの?」
「……ほしいものがあるの」
キラは小さな声でそう答えた。
ほしいもの…キラの欲しいものって何だろう?
キラはあまり物を欲しがらない。だから、こんなことを言い出すのは珍しい。
「ねぇ、キラは何が欲しいの?」
「…あすらん、おこらない?」
「うん。怒らないから教えて」
少し言いにくそうにもじもじとするキラ。
「あの…ね。ぼく、ずっといっしょにいられるおともだちがほしいの」
「ずっと一緒にいられる…友達」
「うん。ぼくにはおともだちたくさんいるけど、みんないろいろいそがしいでしょ?だからほしいんだ、ずっといっしょにいられるおともだち」
俺たちはキラと出来るだけ一緒にいる。
でもそれが無理な時もある。
そんなとき、キラはひとりぼっちになってしまう。
それでもキラは文句ひとつ言わずに「いってらっしゃい」と言って俺たちを送り出してくれる。
そして「おかえりなさい」と笑顔で迎えてくれる。
「あすらん、どうしたの?」
気付いたら俺はキラを抱きしめていた。
「ごめんな、キラ。いつもひとりぼっちにして」
「ううん、いいの。だっておしごとなんでしょ?それにいつもみんなたくさんたくさんあそんでくれるもん。だからね、ぼく、みんなだいすき!」
そう言って笑うキラ。
めったに物を欲しがらないキラがサンタにお願いをしようとしていた。
その願いを俺がかなえてあげたい。
そう思わずにはいられなかった。
「サンタさんは来れないかもしれないけど、キラのお願いは俺が叶えてあげられるかもしれないよ」
「ほんと!?ねぇ、あすらん。それほんと?」
目を輝かせて俺を見上げて「ほんと?」と聞いてくるキラは、とても可愛くて。
もっと近くで見ていたくてキラを抱き上げる。
「お友達…って言うよりもペットに近いかなぁ。それでもいい?」
「ぺっと…ずっといっしょにいられる?」
「うん。ずーっと一緒だよ。そうなるように作るから」
「あすらんがつくってくれるの?」
「そうだよ。俺が作るのだと、嫌?」
「ううん。すっごくうれしい。あすらん、だいすきっ!」
「クリスマスまで楽しみにしてて」
「うんっ!」
満面の笑みでぎゅーっと抱きついてくるキラを見ていると、こっちまで嬉しくなってくる。
キラのために頑張って作らなければ。
キラが寂しい思いをしないようにずっと一緒にいられる友達を。
クリスマスまであと少し……
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後書き。
クリスマスなちったいたん。
さりげなく続き物になってしまいました。クリスマスまでに続きアップします!